いんたーねっと日記

141文字以上のものを書くところ

WELQなき世界で胃腸炎になる

腸炎になって、下痢と吐き気(と微熱)に苦しめられたのだけど、そういえば2017年のインターネットにはもうWELQというものがないんだった。

異変が起きたのは木曜の晩、会社で晩ごはんの弁当を食べた直後で、ふだんお腹を下しがちな自分にしても症状が悪めだったので不安だった。酔っ払ってもいない限りめったに使わないタクシーで帰宅して、とにかく最優先でベッドに入った。

ベッドの中で、何に当たったんだろうとか、明日の朝には治ってるんだろうかとか考えるうち、ふと「これってノロウイルスってやつでは?」という疑念が湧いてきた。ここのところノロウイルス感染症への注意をやたらと聞くし、なんかアイツ感染力高いらしいし。

熱があるせいで起きているらしき寒気と、頻繁にトイレに行くことを強いられていることと、そして金曜日にやらなければいけない仕事のことを思い出すことからどんどん不安になってくる。もしノロウイルスだったら。インフルエンザみたいに何日か外出してはいけないのかもしれない。そうしたら来週の仕事はどうなる?飲み会は?仕事はあとに回せるけど飲み会は待ってくれない。

昔から自由で高速なインターネット回線を基本的人権と読んでいた身としては、寝床であろうとスマートフォンは常に手の届くところにある。さっそく「ノロウイルス」で検索する。

一番上に出てくるのは「ノロウイルス潜伏期間.com」。

なんだこれは。俺達のGoogleはこんなやつを一番上に上げてくるのか。嘔吐と下痢が症状なのは知っとるわ。他の胃腸炎との違いとか特徴が知りたいんじゃ。次亜塩素酸水が楽天市場で売ってる話とか今はどうでもいいんじゃ。

ノロウイルス 症状」で検索してもやはりこの「ノロウイルス潜伏期間.com」が表示されるし、どうもドメイン名にキーワードが含まれているのが強すぎるらしい。

とにかく、いろんな検索を試してもなかなかいい感じに自分の知りたい情報にたどり着けなかった。いろんなページの情報を総合した感じでは、各種の胃腸炎の症状はよく似ているので検査をしないとノロウイルスかどうかわからず、医師の判断によって(たぶん症状が重いときとかに)検査をするみたいだった。

ノロウイルスの検索結果に、何かが足りないと思ったらWELQの姿がないのだった。こんなときもしWELQがあったら、きっとまずノロウイルスだけで数十件の記事があっただろう。そしてそれぞれを「ノロウイルス+キーワード」に最適化された記事として設定していただろう。

WELQの、信頼性の決して高くない情報でもそれなりに読みやすいフォーマットで揃っているというのは、それはそれで一つの価値だった。すくなくとも僕はそう捉えていたんだなと気付かされた。

普段調べ物をするときも、公的機関や研究期間が公開しているものが理解しづらいときは、一旦どこの誰が書いたのかよくわからない解説を読んで、雑に理解してから必要に応じてもう一度信頼できるソースにあたるようなことをしている。あの手のメディアに求めていたのはそういうものだったのだ。WELQはそれを圧倒的な記事数でSEOしまくって検索上位に食い込ませていたんだ。あれはすごかったんだ。

ちなみに胃腸炎のほうは、最初の晩で下痢と吐き気は落ち着き、病院でそれを話したところ「薬出しとくんで、安静にしててください」と言われたのでそのとおりにしていたら熱も下がってだいたい回復しました。たぶんノロウイルスではないんでしょう。