いんたーねっと日記

141文字以上のものを書くところ

節約生活を特集するTV番組を見て子どもがかわいそうに思えた

たまたまTVで夕方のニュース番組を観ていたら一家6人が生活費を月7万円に抑える節約生活というのを紹介していて、 その内容があまりにも衝撃的だった。 番組で紹介されていた家族は15年前に床暖房やジェットバスを備えた豪華な一戸建てを建てるも、 住宅ローンの支払額が上がるのを機に極端な節約生活をはじめて、30年ローンをわずか7年で返済して、その後も節約生活を続けているという。

その節約生活ぶりは徹底的で、特売品を買い込んで一気に食べてしまうので冷蔵庫には電気が通っておらず、 ガスも通ってないので10時間かけて風呂釜保温用の電気ヒーターで沸かして蓋をしたまま全員が順番に入る*1。風呂の残り湯はタライで十数回も汲んで洗濯に使い、さらにその排水はトイレを流すのに使われる。料理は電気鍋で大皿料理を1品だけ作って、食後に鍋底に残った肉や野菜は翌日のパスタやスープの具になる。極力文明の利器に頼らない生活を実現するために携帯電話もなく、あるのは電源いらずのダイヤル式の電話器だけ、照明器具も外してあって9時には消灯するらしい。暖房器具はコタツだけだし、しかもこれも電源はつながっておらず中には湯たんぽが入っている。男は全員庭先でバリカンを使って丸坊主で、女性もたぶん美容室には行ってない感じだった*2。 この家の夫婦はふたりとも元漫画家で、奥さんは節約生活のエッセイ漫画を発売したばかりだという。たぶんこちらを読めばどんな節約生活をしてるか詳細がわかると思う(読んでない)。

びっくり節約生活! 一家6人+1(プラス ワン) 月7万円

特集をみながらあまりにストイックな節約生活に若干ドン引きしていたのだけど、この家の長男がこの春めでたく大学入学が決まって、入学式に着ていくスーツとして出てきたのが、お父さんが成人式のときに買ってもらったスーツだというところでもう限界だと思った。大多数の大学新入生男子は黒や濃紺のスーツを大学入学にあわせて新調するか、そうでなくてもちゃんとサイズの合ったものを着てくるだろう。そこに浅いグレーで胴はぶかぶか、袖は足りないなんていう状態の人がいたら確実に浮く。

大学入学からしばらくの時期というのは、大学の中で人間関係を作る上でそれなりに重要な時期のはずだ。もしかしたら入学式の時点である程度人間関係を構築するようなイベントが用意されているかもしれない。そこでそんな明らかに他と違う格好をしていたら、きっと何か家の事情とかがあるんだろうという先入観を持たれてしまう。少なくともサークルやコンパや遊びには誘われづらくなるだろう。 しかも、紹介されていた節約生活から察する限り、彼はケータイも持っていないと思われる。現代の10代20代にとってケータイを持っていないというのは、それだけでコミュニケーションの障壁を高くしてしまうはずだし、アルバイトとして働く場合にも支障が出かねない。彼の大学生活のスタートが本当に心配になった。

別にお下がりのスーツをもらって着ることもケータイを持ってないことも、決して悪いことだと言い切れるわけではない。しかしおそらく金銭的にそこまで余裕がないわけではない(少なくとも一戸建てを所有してローンも完済している)家庭なのに、親があまりにも子どもが社会生活を行なう上で重要なものへの投資を怠りすぎているように見えるのは問題だと思う。きっと親は「子どもが『いらない』と言ったから……」ということを言うのだけど、親が「いらない」と言っているものを子どもが「欲しい」とはなかなか言えないと思う。

ここまで長男について書いたけれども、その下の高校1年生の長女についてはもっと深刻に思う。女の子同士のほうが多くの場合異質な子の存在に敏感だし、クラスの中で孤立していないか本当に心配している。どうかこの夫妻にはもう少し自分たちの節約方針が家の外での子どもの生活へ与える影響について考えて直してほしいし、子どもには親の方針を客観的に見る力を身につけて強く生きてほしい。

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*1:これに関しては10時間の間に相当熱が逃げてるだろうしこんな保温用の弱いヒーターを使うんじゃなくてふつうに湯沸し器を使ったほうがいいと思う

*2:少なくとも今風の雰囲気ではなかった